Q&A:飼い猫の片耳だけに黒っぽい耳アカが溜まる|質問と獣医師による回答
猫も人間の様に耳アカが溜まる場合があります。
しかし、それが黒い粒状であったり片耳にばかり溜まるような場合、
もしかするとそれは耳アカではなくダニかもしれません。
今回はそんな猫の耳アカと耳ダニについての獣医師への質問と回答です。
質問:飼っている猫の片方の耳だけに黒っぽい耳アカが溜まります
飼っている猫の片方の耳だけなのですが、
黒くて乾燥気味の(黒こしょうっぽい)耳アカをときどき見かけます。
耳ダニというのがあると聞いて怖くなっているのですが、
特に匂いもなくただの耳垢のような気もしていてまだ診察は受けていません。
やはり病院に連れて行くべきでしょうか?
回答:耳ダニというダニの一種の可能性もあります
Original update by : Tom Thai
もちろん、生理的な耳アカである可能性も十分考えられますが、
猫で黒い乾燥気味の耳アカ、と聞くとやはり耳ダニの可能性が高いと思います。
耳ダニは別名“耳ヒゼンダニ”や“耳疥癬虫”ともいうダニの一種で、
猫の外耳炎の原因で最も多いものです。
耳ダニは耳の中に寄生すると耳アカや耳の分泌液などを食べながらその一生を過ごします。
非常に繁殖能力が高く、感染動物が1匹いると周囲にダニの卵がまき散らされてしまうため、
同居動物にかなり高い確率で感染してしまいます。
そのため、母猫から仔猫に感染したり、集団または多頭飼育の場合は蔓延することがあります。
完全に室内で飼育している場合はまず感染することはありませんが、仔猫の場合や外猫と接触した場合(飼い主を含む)などには感染している可能性があるため、室内飼いだからといって安心することはできません。
耳ダニに感染するとどのような症状が表われるの?
耳ダニに感染すると外耳炎などをおこし、
下記のような症状がみられるようになります。
- 黒い乾燥した耳アカ
- 激しい痒み
- 皮膚病変(かさぶたやフケ、脱毛など)
たかが外耳炎、と思う方もいるかもしれませんが、激しい痒みから頭を振ったり
床に耳をこすりつけたり掻きむしったりするため、猫にとってはかなりストレスがかかります。
そのまま放っておくと慢性の外耳炎に進行し、中耳炎や斜頸といった
さまざまな病気を引き起こしてしまうことがあるので、早期に治療をしてあげる必要があります。
どのような治療法があるの?
治療法は、まず耳の中をきれいに掃除してダニ自体の数を減らし、
かつダニの餌となる耳アカなどの汚れを落とします。
それから殺ダニ剤を1週間間隔でダニがいなくなるまで
数回(最低でも3回)耳の中に繰り返し投与します。
それと同時に細菌感染や皮膚炎が起こっている場合には
抗生剤や消炎剤を使って外耳炎の治療も行います。
同居動物がいる場合には同居動物も一緒に
殺ダニ剤の投与を行う必要があるので注意が必要です。
また、参考までにですが、猫の外耳炎を引き起こす原因には他にも
- 細菌感染
- 真菌感染
- アレルギー
- 異物混入
- 腫瘍
などもあります。
原因や体質によって耳アカの性質は異なり、
茶色い場合もあれば膿のような場合もあります。
ただし、耳アカだけでは診断することはできないため、耳アカが増えた、耳から悪臭がする、
また、痒がっている様子などに気づいたらすぐに動物病院を受診するようにしましょう。


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