Q&A:飼い犬の唇がただれているようです。|質問と獣医師による回答
今回は、シー・ズーの唇に炎症のようなものを見つけた飼い主さんからの質問です。
ある日、唇にただれのようなものを見つけ、
かゆみも感じている様子とのことで、心配されているようです。
犬の唇が腫れたりただれたりしまうのには、何か原因があるのでしょうか?
獣医師の見解を見てみましょう。
質問:小型犬の唇が赤くただれているが、何が原因なの?
小型の室内犬(シー・ズー)を飼っているのですが、
唇がただれているように見えます。
かゆいのか、よくカーペットにこすり付けています。
赤くなり炎症を起こしているように見えるのですが、
何が原因なのでしょうか。
回答:痒みもあるようなのでアレルギー反応の可能性があります
Original update by : Robert Nunnally
犬種がシー・ズーであることと唇に痒みを伴う炎症があるとなると、
食物アレルギーや接触性アレルギー性皮膚炎がまず疑われると思います。
では、以下にて、それぞれ説明していきましょう。
食物アレルギー
食物アレルギーとは、ある特定の食べ物を摂取することで起こる
アレルギー反応のことをいいます。
食物アレルギーの真の原因は食物に含まれるたんぱく質で、牛肉や乳製品、小麦などが代表的なものですが、何に対してアレルギー反応を起こすのかは各々で異なります。
まずは以下の症状にあてはまるものがないかどうか確認してみてください。
- 1年中季節に関係なく痒がる
- うんちが柔らかくなった
- 口周りやおなか、背中、おしり周りを特に痒がる
- 1歳までに症状が出るようになった
- フードを変えてから症状が出るようになった
これらは食物アレルギーの典型的な症状なので、
当てはまるものがある場合、食物アレルギーである可能性があります。
また、食物アレルギーは体質によるものなので、お薬や手術で治すことは難しいのが現状です。
そのため、食物アレルギーの治療法はアレルギーを引き起こす物質を
与えないようにする食餌管理が基本となります。
現在食餌管理がしやすいようさまざまな「除去食」とよばれる
食物アレルギー専用の療法食があるので、まずは動物病院に相談してみてください。
接触性アレルギー性皮膚炎
接触性アレルギー性皮膚炎はプラスチックやゴム、
金属、植物などに接触することで起こるアレルギー反応のことをいいます。
接触性アレルギー性皮膚炎の場合、アレルギーの元となる物質が
接触した部分に症状が出るのがその特徴です。
主な症状は痒み、発赤、発疹で、しきりに掻いたりなめたり床にこすりつけたりします。
今回のように唇を痒がっている場合には食器やおもちゃなど口周りが触れる物に対してアレルギー反応を起こした可能性が高いといえるため、もし最近食器やおもちゃを変えた、という場合には接触性アレルギー性皮膚炎が疑われます。
接触性アレルギー性皮膚炎も体質によるものなので、
基本的な治療はアレルギーを引き起こす物質に触れさせないようにします。
いずれにしても痒みは犬のストレスになりますし、
放っておいて良くなるものではありません。
原因を特定するためにもなるべく早く動物病院を受診することをおすすめします。
補足
一応、誤解がないように付け加えておきますが、
必ずしもシー・ズーだからアレルギー性皮膚炎になるというわけではありません。
シー・ズーは、もともとチベット高原原産の犬種で、
寒くて乾燥した地域で生活していたため、高温多湿を苦手とする傾向にあります。
そのため、湿度の高い日本では皮脂の分泌が多くなりがちで、
脂漏性湿疹をはじめとする皮膚病や皮膚疾患になりやすいのです。
遺伝的に、シー・ズーはそういう傾向にあるという事だけ、念頭に置いていただければと思います。
上記で説明した食物アレルギーなどについては、犬種に起因するものではなく、
またシー・ズーだからといって必ずしも皮膚病になるとも限りませんので、
誤解のないようお願いいたします。


コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。